今回、荒川下流の氾濫を防いだ大きな要因と言われている彩湖の正式名称は「荒川貯水池」。国土交通省荒川上流河川事務所が管理する荒川第一調整池の一部です。


荒川第一調整池は洪水時に一時的に水を貯めて下流の流量を制限する洪水調整池で、彩湖は都市用水となる水を貯めて渇水時に補給する利水施設です。


今回の台風でも荒川の水位等や今後の流入水量見込みのタイミングをみて、彩湖を含む荒川第一調整池に流すことが国の方針で決まっていました。そのことを事前に市民に広く広報しておいた方が、洪水に対する不安の低減につながったかもしれませんが、逆に安心してしまうと万が一を考えての避難行動に停滞を招くことになったかも知れず、難しいところです。


いずれにせよ、荒川が氾濫しなかったことを考えると、彩湖を含む荒川第一調整池への放水をちょうど良いタイミングを見計らって行なった国の判断は適切で、荒川下流域に住む多くの国民の命を救ったといえるでしょう。


その一方で、荒川の水位が上昇し、さいたま市や川口市、蕨市が全員避難の目安となる警戒レベル4を発令する中で、戸田市だけが警戒レベル3のままで止まっていました(警戒レベル3は「高齢者等避難に時間を要する人は避難」)。


警戒レベルは市町村が判断し発令するものですが、戸田市が警戒レベル3で止まっていたことは、万が一を考えた時に適切な判断だったのかどうか、そもそも何故警戒レベル3で止まっていたのかの理由も含めて、今後のために検証する必要があると思います。


なお、現在、荒川には第二、第三の荒川調整池の建設が計画されています。災害に対する油断は禁物ですが、これらが完成すると、さらに安心できるようになります。


http://www.ktr.mlit.go.jp/arajo/arajo00567.html


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