個人的な話です。

群馬県渋川市赤城町上三原田(かみみはらだ)で4年ぶりに歌舞伎公演が開催されます。

江戸時代に創建され、国の有形民俗文化財に指定されている「上三原田の歌舞伎舞台」。せりひき機構を始めとする独創的な仕組みや日本最古と言われる本格的な回り舞台をもつ農村歌舞伎舞台です。全て人力で動かす舞台。舞台裏、天井、奈落など操作には総勢80名が必要です。この舞台で歌舞伎公演があるのは年に一度のみ。

http://www.city.shibukawa.lg.jp/kankou/rekishi/kamimiharada/index.html

操作技法を受け継いでいるのは地元の操作伝承委員会の方々。私は6年前に仲間たちと清掃や舞台設営から参加し、地元の方々と人間関係を作りながらこの操作を外部の人間としておそらく初めて手伝い、その貴重な操作方法を撮影もいたしました。翌年も操作の手伝いに参加し、私も奈落から舞台をせり上がる歯車を渾身の力を込めて回すお手伝いをいたしました。その翌年から修復作業が始まりそれが終わらぬうちに東日本大震災の被害。そして全ての修復を終えて今年再びこの舞台での歌舞伎が披露されることになったのです。操作にはあたる人たちは歌舞伎を見ることはありません。舞台の後ろで天井や奈落にこもり、拍子木の合図に従って操作にあたります。見てはいないけど客席から聞こえる歓声や舞台の板間から落ちてくる紙吹雪などから演目が終わったことを知るといった感じです。

今年も私は参加します。またご案内差し上げますが、私にとっては歌舞伎座とは違う歌舞伎がここにあり、おそらく祖父が若かりし頃に家出して旅の一座に身を寄せていた時にはこのような舞台で演じていたのだろうと想像し身近に感じる舞台です。伝統文化に参加する貴重な体験。ご関心のある方、お越しになりませんか。

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