依然、事態収束の見通しがつかない福島第一原発事故ですが、４月12日に、経済産業省原子力安全・保安院から、放射能汚染事故としては最悪の「レベル７（国際原子力事象評価尺度）」に引き上げるという発表がありました。

15）

保安院発表は、事故当時、レベル４ということでしたが、その後、レベル５に上げ、12日には３月11日から４月12日までに放出された放射性物質のうち、ヨウ素131とセシウム137の大気への放出量が原子炉の状態から37万テラベクレル（ヨウ素換算）と推計、今回のレベル変更発表となったようです（読売新聞）。

しかし、政府の内閣府原子力安全委員会からは、同日、周辺で測定された放射線量から推計して、３月11日から４月12日までに放出された放射性物質量は63万テラベクレル（ヨウ素換算）とさらに大きな数字を発表、しかも、数字がレベル７相当になるという可能性を内閣府では３月下旬には把握していたけれども、経済産業省の原子力保安院にレベルの引き上げを急ぐよう求めはしなかったとのことです（時事通信）。

その理由として「レベルの設定は原子力安全・保安院の役割、レベルが上がったといって対応が変わるわけではない」とのことで、「知っていたけど、担当ではないから」という官庁の縦割り行政お決まりの言葉に、もうあきれて物が言えません。

内閣府が３月末に把握していたということは、枝野官房長官も知っていたことでしょうけれども、彼はひとことも言わなかったですね。

一番飛び散ったと思われるのは３月11日から16日までのことだそうですが、当時は気流の流れすら発表されていなかったので、よくわかりません。東日本に滞在する外国人の多くが、大使館から連絡を受けて、国外や西日本に避難したのはその頃だったことを考えると、この国の仕組みは「パニックにならないこと」を優先して、国民の命（とくに放射線被害を受けやすい子ども）は二の次という、おかしな感覚になっているようです。まさに無責任体質そのものです。

ところで、飛び散った放射線物質については、チェルノブイリ事故の10分の１程度ということですが、もう○○万テラベクレルなんて言われると、もう感覚が麻痺してきて、危険すぎるのはわかるけれど、今後、どうなる可能性があり、どんな対応が必要なのかよくわからなくなってきます。

もちろん、今なお現場で立ち向かわれている方々のおかげで、このまま収束し、何も起こらないことが第一であり、そうなることを祈るのみですが、最悪の事態はどうなるかということも考え、その時はどう対処するかを個人レベルでも考えておく必要はあるかと思います。

そんな中、京都大学原子炉実験所准教授の小出裕章氏が昨日話された内容がYouTubeに公開されていました。小出氏はかつては原子力推進派であったものの、その後、推進反対の立場をとられるようになりました。

電力会社から支援金をもらっている大学研究室の教授たちの解説はテレビなどでよく見ますが、そうでない立場の人の話も聞いておくことは必要だと思います。

もちろん判断するのは、私を含めて自分自身、個人です。

小出氏の話は、検索するといろいろ出てきます。




その他、ビデオニュースドットコムを主催される神保哲生氏が、先日、福島第一原発の間近まで行かれて、映像をとられてきました。現地の状況がどんなになっているかを知るために、これもお薦めです。

（４／６）原発避難区域は犬や牛の群れが闊歩する無法地帯に


（４／９）神保哲生報告／ゴーストタウンと化した避難区域で見たもの


（４／８）小出裕章氏：福島原発で再臨界の疑いが濃厚に



もう20年前くらいのことになりますが、現在は戸田市議になっている斎藤直子さんたちとともに、神保哲生氏の講演会を企画しお招きしたことがあります。神保氏はそれ以前から現場を重視されるビデオジャーナリストとして活躍されておられました。