今日の朝日新聞朝刊埼玉版に、先日、私が受けたインタビュー記事が掲載されています。

内容は今年の統一地方選挙を前にして、市民はどう感じているか、市民にとって望ましい議会とはどのようなものと感じているかということを、長年に渡って市民活動に従事し、首長・議員の公開討論会や対話集会をやってきた経験を踏まえて話してほしいとの求めに応じたものとなっています。

写真を見るのも、内容を読むのも、気恥ずかしいのですが、ご報告いたします。3時間ほど話をしましたが、記者さんにはうまくまとめていただいて感謝いたします。

ishinsaitama_20110125_saitama


議会も市民報告会を開いて 有権者は「情報発信」を

地方政治への有権者の関心が高まるよう、政治家を招いて公開討論会や対話集会を開いてきた市民団体「いしん埼玉市民の会」。会長の林冬彦さん(46)に、有権者の意識や政治へのかかわり方について聞いた。(上田雅文)

― 都市部を中心に投票率が低くなりがちな地方選挙について、どう思いますか

町内会など身近な活動に関わるきっかけが少なくなっていて、地域への関心がなくなっているのが大きい。ごみの片付けなど、それぞれの小さな自治に市民が参加してやれることをやり、地域に関わることで、街の問題点が見えてくる。関わりがあれば「(選挙について)自分とは関係ない」とは言えなくなる。

― 市民が地方政治に関心を持てないのは

地方議会(決定機関)と首長(執行機関)の役割の違いが、多くの市民にはごちゃごちゃになっている。自分たちの街で何が問題になっているのか、市民に情報を提供して伝えられない政治家が多い。都合のいいことばかり言って「私はこれをやりました」では、市民は「またか」と嫌になる。

― 求められる議員とは

議員は街の案内人であってほしい。市民に近い立場の議員が、行政の現状をかみ砕いて分かりやすく市民に伝えることの重要性は増している。市民への報告会のようなものが議会にあれば良い。議員は市民の質問にさらされ、資質が求められる。そんな刺激がないと勉強も努力もしない。市民の関心が高まれば、議員の質も変わり、議会の質の底上げが図れる。

― 自治体の財政は苦しいが利益誘導型の政治はなくならない。切実な問題だという地域もあり、望む人もいる。また、それが票につながる。しかし、自治体の財政に余裕はない。不要(な事業)と判断された場合、市民には理解する気持ちが必要だ。従って、首長や議員は市民が納得できる考え方を示せるか、自治体の価値を高めるビジョン(展望)を訴えられるかが大事になる。

― もうすぐ統一地方選ですが、前回(2007年)との違いは

市民に関心がない。4年前には「公開討論会はいつするのか」という問い合わせが多く、期待感があった。今は熱気が感じられない。前回(09年)の衆院選で「変わるだろう」と投票したものの、政権交代後、裏切られた気持ちやあきらめが漂っている。政治パフォーマンスに対しても、目が肥えてしまっている。

― それでも有権者はどう行動すべきだと思いますか

議会は行政のチェック役だというが、本当にチェックするのは市民。インターネットを使って情報を探す市民は確実に増えている。個々が「自分なら、この観点でこの議員に投票する」などの情報発信をするべきだ。市民同士で意見を交わすことで、発見できるものがある。そうすれば「投票に行かなければ」と感じるはずだ。




・・・ インタビューでは、良い自治体運営の例として、戸田市のことを話したのですが、今回は戸田市にフォーカスを当てるということではないので、一般論として書きますということでした。

「議会が市民への報告会を開く」というのは、北海道栗山町から始まった「議会基本条例」を制定した議会で義務付けられているもので、埼玉県内でも所沢市議会が良い例です。戸田市のお隣りのさいたま市では議会基本条例が制定されてはいるものの、市民報告会が義務付けられておらず、そういう点では中途半端と感じます。戸田市議会でも議会基本条例に前向きだと聞いておりますので、いずれ動きがあるでしょう。

インタビューの中で強調したのは、戸田市の神保市長が強く推進されているようなコミュニティづくりの重要性です。市民活動やボランティア活動をはじめ、音楽を含めた文化活動などを通して、まちに何らかの形で関わることが人の意識を変えます。「わが街はわが手で」という意識が生まれてきます。そうなってくると、選挙においても「関係ない」とは思えなくなってくる。また、議員の方々の本職は議会活動だけれども、この情報過多状況(情報が多すぎて、全体像が見えなくなったり、情報の重要性が判断しにくくなったり、どこに必要な情報があるのかわからなくなったりする状況)においては、議員の方には市民に対するコンシェルジュ(案内人)的な役割も求められていると思うと話しました。