以下は、この度、あるところに寄稿した文章を一部編集したものです。基本的にかつてこのブログに書いたものを再構成いたしました。

政治ネタが続いていてすみません。来月の戸田市長選挙の結果は私たちの戸田市のこれからにとってとても重要なものになりますので、私も大いに関心をもっています。

ご笑覧いただけましたら幸いです。


「政権交代」は地方政治にはそぐわない

私が住んでいる埼玉県戸田市では来月に市長選挙が行われることになっており、すでに主要駅では民主党が「政権交代」とかかれた幟を立て、その言葉を書いたビラを配っています。私はそれをみる度に大きな違和感に襲われます。

選挙で選ばれた議員による投票で首相が決まりその首相の任命により内閣が組織され政権が運営される一元代表制の国政と違い、政策の議決機関である議会議員と議決された議案の執行機関である行政の長たる市長の両方が有権者による選挙で選ばれる二元代表制の地方政治にはそもそも政権というものが存在しません

国の場合、国民は選挙で国会議員を選びます。民意は国会一つであって、一元代表制です。そして国会が首相を選んで、その首相が内閣を作り、内閣は国会に対して責任を負うという議員内閣制をとっています。一方、自治体の場合は、首長と議会それぞれを市民が選挙で選びます。民意は二つとなり、首長は主に「執行」を、議会は「決定」を担当し、首長も議会もそれぞれ市民に責任を負うという二元代表制となっています。

「市議会の役割は市政のチェック機能」ということを言われる方がおられるけれど、二元代表制の場合、議会の役割は「決定」であって、市政に対して決定責任をもつ議会と執行責任をもつ首長をチェックするのは市民自身であり、これら3つの力が緊張関係を持ちながら運営されるのが自治体です。だから こそ二元代表制が機能するためには、首長は市政への市民参加を積極的に進め、議会は首長以上に直接市民から意見を聞かなければならない、とされています。

民主党が昨年夏の衆議院選挙で大勝し「政権交代」となったのはまだ記憶に新しいところですが、政権交代という言葉が、そもそも地方議会にはそぐわない概念であり、その言葉を地方選挙において使うことは根本的に間違っているのです。地方政治においては、政治家は二元代表制の仕組みを市民に伝えることこそ大切で、それとは真逆に「政権交代」という言葉を使うのは、有権者に対する策略であり、このようなやり方が結局は政治不信を増殖させるもとになるように感じます。

周辺自治体の民主党の市議会議員の方の中には、市の現状や候補者のこれまでの言動を知ることなく「今度は戸田市で政権交代だ」などと軽々しく自身のブログに書いている方が何人かおられますが、そのような現場を知ることなしにまるで勢力拡大のように地方政治を表現する行為は民主党の評判を落としかねません。

民主党さんにも素晴らしい方はたくさんおり、だからこそ昨年の衆議院選挙では有権者の期待を背負って大勝することができたはずです。民主党改革派の方々には 私も大いに期待しているのですが、同じ民主党の中にはこれまで何をやってこられたのかをみる限りとても改革派とは言えないような方も現実には見受けられます。それでも選挙の時は「民主党」の旗印を掲げられるのは、民主党改革派として一所懸命頑張っている方々にとっても残念なことでしょう。