このブログでも何度かご紹介したことがある、戸田市呉服商・きもの三京さんが、今日の朝日新聞朝刊埼玉欄「ひと彩々」で記事紹介されていました。

記事をじっくり読むと、なるほど…三坂功さんならではと、その地域への思い等に感動しました。

キンモクセイ染めの紬(朝日新聞6月14日朝刊記事)

「地域へ愛着 着物に映し込む」
戸田の呉服店主 三坂功さん


戸田市上戸田3丁目で呉服業を営む三坂功さん(60)が、市の木・キンモクセイで染め上げた紬の反物を完成させた。縦糸と横糸の組み合わせで風合いを変えた2種類の限定8反。「淡い黄金色の極上の草木染。世界に一つの手織り作品です」

要した期間は1年。昨年の今頃、長男修さん(29)と一緒にキンモクセイの葉と幹の計100キロを収集。古くから付き合いのある山形と新潟の織り元に託し、染め具合を見定めるために何度も足を運んだ。

そして仕上がったのは、光沢に富んだ綾織りの「米沢白鷹紬」と無地感覚の平織りにした「越後紬」。

「費用対効果では全く割に合いません。私の還暦記念と、世話になっている地域へのお礼を込めて」

地域の資源を生かした創作にこだわる。15年ほど前から「観音寺の桜」や「戸田の渡し」など、市内の名所や文化財をデザインし、一点ものの留め袖や訪問着に仕立てたり、キンモクセイで染めた糸のスカーフを手がけたりしてきた。

一国一城の主をめざし、42年前、山形・尾花沢から上京。東京・日本橋の呉服問屋と県内の小売店での営業を経て独立したが、初めは行商だった。「一日500軒まわって、1枚も売れない日もありました」

27年前、戸田市に店を構えた。地元の商店会長を長く務める。地域への愛着を、着物という日本の文化に映し込むのが願いだ。

「売り手、書いて、地域の三方よしが理想です」

19〜21日、市文化会館で「おかげさま展」と題した制作品発表会を開く。

(伊藤典俊)