7月2日午前に実施した佐賀県多久市の視察研修報告です。

長文ですが、ご関心のある方にお読みいただければ幸いです。なお、戸田市議会議会事務局に提出した報告書には、多久市役所・市議会のご担当者名を記しておりますが、ここでは省略いたします。また、報告書PDFや配付資料等は後日、令和会ホームページに掲載いたします。


1.視察の目的

 戸田市は、現在、オーストラリア国のリバプール市、中華人民共和国の開封市と友好都市関係を締結し、主に、子供たちのホームステイ留学や市民相互交流、議会相互交流を行なっている。

 今回、視察先に選んだ佐賀県多久市は、戸田市と同じ中華人民共和国に友好都市交流を定期的に行っているが、特に文化に関する交流をきっかけにして、多久市の地域資源である「江戸時代から続く『論語』のまち」という面を深化・発展させ、子供たちの自己肯定感の高まりや、郷土に対する愛着を強めるという効果を生んでいる先進都市である。

 友好都市交流をきっかけに、子どもの教育や郷土愛育成に波及効果を生んでいる多久市を視察することで、戸田市のこれからの友好都市交流のあり方について知見を得ることを今回の視察の目的とする。


2.視察概要

テーマ :友好都市事業について
視察日 :令和元年7月2日(火曜日)午前9時から正午
場 所 :多久市「東原庠舎(とうげんしょうしゃ)」・多久聖廟(孔子廟)
「東原庠舎」は江戸期に多久に設けられた学問所であり、現在の東原庠舎はかつての東原庠舎跡地の近隣に建てられた記念館であり、かつての東原庠舎を伝える施設となっている。
配付資料:
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参加議員:戸田市議会令和会議員(伊東秀浩・山崎雅俊・斎藤直子・峯岸義雄・林冬彦)


3.視察の内容
(1)市議会議長より挨拶があった。
(2)令和会団長より返礼挨拶があった。
(3)多久市長が会場に到着された。
(4)資料,鬚發箸紡慎彁圓斑羚餠壁貉圓箸陵Чヅ垰垳鯲について説明があった。
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   ∋毀韻慮鯲について
(5)資料△鬚發箸法崋畉擇良馥各の経緯」について、説明があった。主な内容については添付資料△鮖仮箸気譴燭ぁ


(4)(5)の主な内容は次の通りである。

 江戸時代の1708年、多久4代領主・多久茂文によって建てられた聖廟。学問の祖・孔子をお祀りしている。当時、多久領民の心が荒れていたことに心を痛めた多久茂文は、身分の分け隔てなく学べる学問の場「東原庠舎(とうげんしょうしゃ)」と、心の修養の場「多久廟」を多久の地に設けた。

 日中国交回復後、民間交流が始まり、多久市においても「多久市日中友好協会」が設立され、訪中団(市長、市議、日中会員)が結成された。北京、済南、泰山、曲阜、蘇州、上海などを訪問する中で、多久市の友好都市締結先は、多久聖廟に祀られている孔子聖誕の地である中華人民共和国曲阜市(きょくふし)に絞られた。

 多久市は曲阜市と、平成5年(1993年)に友好都市を締結。その後、多久市日中友好協会を中心とする、多久市と曲阜市との草の根交流が始まった。

 平成5年、財団法人孔子の里(現、公益財団法人孔子の里)常務理事が、曲阜市の孔子祭を視察した際に、中国で孔子を祀る時に踊られる釈菜(せきさい)の舞を観たことがきっかけとなって、多久市で釈菜の舞を行うことが検討され始めた。

 平成7年に、日本船舶協会補助金を活用して、釈菜の舞調査団が訪中し、釈菜の舞の指導者を多久市へ招聘し、芸能保存会のメンバーに指導いただいた。その時点では、釈菜の舞の前半部分のみが多久市に伝えられた。

 平成16年に、民間交流20周年・友好都市10周年を迎えた際に、再度の訪問団派遣と中国からの釈菜の舞の指導者来訪が行われ、釈菜の舞の後半部分も多久市に伝えられた。

 曲阜市の釈菜の舞指導者が多久市に来訪した際、中国では文化大革命の際に昔から伝えつたえられてきた孔子聖廟の多くが毀損されたこともあって、多久市が大事に孔子を祀った聖廟が江戸期から今日まで大事に伝えられてきたことを知って感動されたそうである。

 以後、毎年春と秋にこの多久廟で「釈菜(せきさい)」という感謝を捧げる祝祭が行われている。踊り手は主に地元の高校生。雅楽を演奏するのは市の職員たちである。

(6)質疑応答があった。

(7)東原庠舎から移動し、江戸時代から多久市に伝わる「多久聖廟(孔子聖廟)」と曲阜市から多久市に送られた孔子像を視察し、説明を受けた。


4.知見と考察

 多久市では、友好都市・曲阜市との交流を進めた結果、多久市に江戸時代から伝えられてきた「多久聖廟(孔子廟)」を強く意識するようになった。そして、論語文化を軸とし、さらにその文化度を子供の時から深めていく試みが行われている。小中学生は論語カルタ、高校生は釈菜の舞。それらの活動を大人たちが支え、さらには全市民を対象とした「論語検定」が行われている。

 また、同時に、多久聖廟と同時期に開設された、論語を元とする「朱子学」の学問所である「東原庠舎」にも光をあて、そこで学び、世に出て、明治期の日本を支えた人材を郷土の誇りとして意識することを含めた郷土学「多久学」という取り組みを行っている。

 外の文化圏と交流することで、かえって自分たちのご先祖様が伝えてきた文化を意識し、郷土に縁を感じ、誇りと自己肯定感を持つ。そんな動きが多久市で生まれていた。

 戸田市も中華人民共和国開封市と友好都市を締結しており、子供たちのホームステイ留学や市民交流、議会交流を行なっているが、多久市のように、交流事業を行なった結果、郷土を強く意識するようになるという効果は、まだ全市的には生まれていない。

 交流をきっかけに「郷土愛」「誇り」「自己肯定感」を高める仕組みづくりを意識しながら、戸田市のこれからの友好都市交流のあり方や進め方を考えていく必要があると強く感じた。

(報告者 令和会 斎藤直子)

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視察研修会場となった「東原庠舎

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多久市職員・令和会議員一同

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多久廟(孔子廟)を横尾市長にご案内いただく

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約300年前に建てられた多久廟(孔子廟)

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中央の御厨の中に孔子像がある

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多久廟の説明を職員さんから受ける

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孔子生誕の地・中国曲阜市から贈られた孔子像

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横尾市長に曲阜市と多久市の交流について説明いただく

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(関連情報)

・釈菜の舞