今日の読売新聞埼玉欄に、戸田市で活躍される熊沢印刷さんを紹介した記事が掲載されていました。

戸田市は東京に隣接する水と緑のオアシス都市を目指していますが、同時に、都心へのアクセスの良さ等から、印刷・製本関連業や倉庫業、食品製造業などの企業が集まるまちとなっているのが特徴です。

戸田市内の印刷業の中でも、熊沢印刷さんはその技術力の高さで有名な企業のひとつです。

熊沢印刷さんは以前より存じておりますが、読売新聞の記事を読んであらためてその技術力の高さに驚きました。

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(読売新聞 2011年1月13日朝刊)

 
印刷で感触や香り再現 熊沢印刷工芸営業本部(戸田市)

工場で刷り上がったばかりのタイルのカタログに驚かされた。つやつや、でこぼこ、木目調と、紙製なのに、本物のタイルのような光沢感と手触りが再現されている。2003年、他社に先駆けて開発した質感再現の技法によるものだ。

約230社の印刷関連会社が集積する戸田市にあって、熊沢印刷工芸はスクリーン印刷を専業とする数少ない業者。「印刷物はもう『見る』だけではない。『触る』ことも『嗅ぐ』こともできる」。熊沢嘉孝社長は胸を張る。

スクリーン印刷は、ポリエステルやナイロンを版として使用し、着色したい部分に穴をあけ、そこからインクを通す。活版やオフセット印刷と違い、強くプレスしなくても済むため、紙にインクを厚く盛ることができる。この特長を生かしたのが質感再現技法だ。

タイルだけでなく、畳や牛革のカバンなど顧客の要望に応じて様々な手触りを再現してきた。いずれもカラー印刷した模様の上に、透明なインクを盛り上げて立体化させる。

本物の光沢感、触感に近づけるため、無数にあるインクを混ぜ合わせて試行錯誤を重ねてきた。「微妙なインクの差が、出来上がりを大きく左右する。まさに職人芸の世界」と、池田亮二工場長は説明する。

香りを楽しむ印刷物も手掛けている。香料入りの微小なカプセルをインクに混ぜて刷り、手でこするとカプセルが割れて香料が染み出す仕組みだ。化粧品会社やピザ販売店などのチラシに活用されている。

また、夜間に光を放ったり、加熱すると色が消えたりする印刷物も製作している。

もともとは、大型プラスチックへの印刷を得意としていた。空港や地下鉄など大型施設の案内板をはじめ、1970年の大阪万博や85年のつくば科学博のパビリオンの看板も作った。しかし、公共事業費の縮小に伴い、受注は減少。10年ほど前、生き残りをかけて始めたのが付加価値をつけた紙印刷だった。

「スクリーン印刷は、まだまだ可能性を秘めている」と熊沢社長は語る。食品会社は「可食インク」を使い、チョコレートや煎餅などの食品へのプリントも行っている。

とすると、五感のうち印刷物で表現されていないのは聴覚だけ。「紙をこすったり、たたけば音が出る。これを売りにした印刷物ができないかな」。熊沢社長の挑戦は続く。